田原総一朗です。
10月21日、
高市早苗さんが
第104代総理大臣に選出された。
日本史上初の女性総理誕生である。
心から祝福するとともに、
日本の政治、
そして社会全体が変わると
期待したい。
2021年5月、
ジャーナリストの長野智子さんが
女性議員たちと
「クオータ制」導入を目指す
勉強会を発足した。
僕はその後押しをしている。
クオータ制とは、
議員や選挙候補者の
一定比率を女性に
割り当てる制度で、
世界では130の国と
地域で採用されている。
もちろん、
このような制度がなくとも、
多くの女性が政治家や
リーダーとして活躍する
社会が理想だろう。
しかし、日本では、
その必要性を感じる。
世界経済フォーラムが
毎年発表している
ジェンダーギャップ指数が
日本はOECD諸国の中で
つねに世界最低水準だからだ。
海外ではこれまで、
英国のサッチャー元首相、
ドイツのメルケル元首相、
台湾の蔡英文前総統、
韓国の朴槿恵前大統領、
米国のハリス副大統領、
ニュージーランドの
アーダーン元首相……。
多くの女性リーダーたちが
活躍している。
海外に比べると、
日本は世界最低水準……
とはいえ、近年国内でも、
県知事や市長はじめ、
各自治体のリーダーに
女性が増えつつあるのは、
とても心強い。
そういう状況で、
日本初の女性総理が誕生したのは、
非常に喜ばしいことだ。
今の日本で
政治のトップに立つのは
非常に勇気が要ることだと思う。
「失われた30年」は
一向に上向く気配を見せず、
国民の不満は、
マグマのようにじわじわと
溜まっている。
そんな中、高市さんは
総理という重職を引き受けた。
すごい勇気だと思う。
高市さんは、
今からどのように
日本を変えていくのか。
所信表明では、
「強い経済」という言葉を
6回も入れ込んだのが
印象的だった。
積極的に財政出動する、
ということも語っている。
たしかに、経済対策は、
喫緊の課題であり、
思い切った経済政策を
ぜひ打ち出してほしい。
高市さんの演説ぶりには、
そう期待できる、
力強さを感じた。
高市さんといえば、
右派的な政治信条が
クローズアップされるが、
今の日本には、
経済政策の信条こそが重要だ。
「失われた30年」が
もたらす閉塞感の流れを、
今こそ変えてもらいたい。
外交面では、
アメリカのトランプ大統領と
初の首脳会談を行い、
見事に「懐に入った」
と言っていいだろう。
かつ、言うべきことは
きちんと言う関係を
構築していってほしい。
世論調査の支持率は、
高いもので80%超えと、
順調な滑り出しだ。
ただ一方、
所信表明でも、
「政治とカネ」の問題への
具体的な言及はなかった。
積極的な財政出動はいいが、
「自民党は既得権益層べったり、
政治を改革しようとしない」
という国民の不満が
徐々に高まる恐れもある。
所信表明の最後に、
高市総理は、
「憲法十七条」を引用した。
「事ひとり断(さだ)むべからず。
必ず衆(もろとも)とともに
よろしく論(あげつら)ふべし」
その上で、
「政治とは、独断ではなく、
共に語り、共に悩み、
共に決める営みです」
とまとめた。
この言葉を決して忘れず、
国民の声を聴き、
日本を良き方向に
導いていただきたい。