「反橋下」の知識人はなぜ議論に勝てないか?

1月27日深夜「朝まで生テレビ!」で
「激論!大阪市長“独裁”・橋下徹”は日本を救う?!」を放送した。
「橋下さんが目指す大阪とは何か」「大阪都構想にはどんな問題があるのか」
僕が疑問に思っていたこと、みんなが知りたいことをテーマに、
橋下さんと7人の有識者で、徹底的に激論してもらった。
「反橋下」の人たちに鋭く切り込んでもらう、それが番組の狙いだったのである。
しかし「反橋下」派は弱かった。
討論は橋下さんがはるかに優勢で、「反橋下」派が橋下さんを困惑させることは
まったくなかった。

これまでも多くの文化人や学者が橋下さんに論戦を挑んできた。
しかし、いずれも橋下さんが楽勝という印象である。
なぜ、橋下さんに批判的な文化人や学者は、議論すると負けてしまうのか。

なによりも、日本のインテリはまだ「左派」の影響が強い。そしてインテリほど
選挙では野党に投票してきた。以前なら社会党や共産党を応援してきた。
要するに体制が嫌いなのである。「反体制」が正義だと思っているのかもしれない。
メディアも同様である。
体制をウオッチして批判することがジャーナリズムだと思い込んできた。
ここまではよいだろう。
しかし問題なのは、批判だけで終わってしまい、次がないのである。
だから討論で橋下さんが相手の批判を受けて「では、あなたならどうしますか」
と問うと、対案が出てこない。そこで討論が終わってしまうのである。
これは日本の政治と同じ構造である。
たとえば、民主党が消費税増税をしようとすると、野党は反対する。
国の借金が1000兆円になり、「これ以上増やしてよいのか」と問うと、野党は
「予算を削ればよい」と答える。
「福祉や医療などの予算を削ることになるが、それでもよいのか」と言うと、
それにも反対する。
そして、与党から「では、どうするか」と問われると対案が出てこない。
日本のインテリに共通する弱さだ、と僕は思う。
「では、どうするのか」に対する答えを用意していないのである。

僕は、長い間、権力者を批判すれば新しいアイデアは出てくるものとばかり
思っていた。
しかし現在の日本の権力者からは、批判してもアイデアは出てこない。
しっかりとした体制というものがなくなったからだと、最近になって気が
ついたのである。
そして、さらに権力者自身、自分が日本を改革していくためのリーダーである
という意識が希薄になっている。
だから、自分ならどうするといった具体策がないのだろう。

日本のインテリの欠陥は、いつまでも話し合いを重ね、決断できないことだ。
ところが橋下さんは、話し合いをしたうえで決断して実行する。
この「決める政治」に対して、日本のインテリたちは危機感を抱いた。
そこで、橋下さんを「ファシズム」、あるいはそれをもじって「ハシズムだ」と
批判している。橋下さんとインテリの間にズレが生じているのである。

このようななかで橋下さんは、「新しい権力をつくろう」「新しい体制をつくろう」
ということを考えている。
さらに、橋下さんを中心にして政界再編を図る動きが見られる。
石原慎太郎都知事と手を組む話もある。
大阪と東京が手を組めば、日本は変わるかもしれない。
橋下さんの「決める政治」が日本をどう変えていくか。
僕は、これからも橋下さんにどんどん突っ込んでいきたい。

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「正義感」は危険だ!

先週19日、映画『J・エドガー』を観た。
2度のアカデミー賞監督賞に輝く名匠、クリント・イーストウッドが監督、
主演はレオナルド・ディカプリオである。
アメリカFBIの初代長官、ジョン・エドガー・フーバーを描いた作品である。
フーバーは77歳で亡くなるまでほぼ半世紀にわたってFBI長官を務めた。
死ぬまで現役でFBIに君臨した独裁者だった。
なぜ、そんなにも長く長官であり続けたのか。

48年間の在任中、フーバーは8人の大統領に仕えた。
そして、歴代大統領も彼の能力と手腕を買っていた。
だが、どの大統領からも信頼されていたからクビにならなかったというわけではない。
誰もフーバーをクビにできなかったのだ。
歴代大統領のプライバシーを徹底的に調べて弱みを握り、
極秘ファイルをつくっていたのである。
アメリカの数多くの要人たちに対してもそのプライバシーも同様に調べ上げ、
極秘ファイルをつくった。
フーバーをクビにしようとしたり、楯突こうとしたりするものなら、
その極秘ファイルをもとにスキャンダルが表沙汰にされてしまう。
誰もがそれを恐れたのである。
黒人解放運動を指導したキング牧師を標的にしたこともあった。
キング牧師が女性とホテルで過ごしたときの音声を録音したのである。
その録音を使ってキング牧師を陥れようとしたが、牧師がノーベル賞を
受賞したことによって、策略は実行されなかった。

フーバーはアメリカきっての正義感の持ち主であったようだ。
そして同時に、アメリカきってのスキャンダリストでもあった。
「アメリカの平和と安定を、何としても守らねばならない」
という正義感に燃えていたのである。

僕は、この映画を観て、いろいろなことを考えさせられた。
アメリカを平和で安全な国にしなければいけないという信念を持ち、アメリカに
とって害になると判断した人間や勢力をあらゆる手段で叩き潰す。
そのために謀略もトリックも躊躇なく使う。
日本の検察はフーバーを手本にしているのではないか、と。

そして、もうひとつ。「正義感」というものが持つ危険性についてである。
「アメリカの平和と安定を守る」という強い正義感ゆえに、謀略を尽くし、
法をねじ曲げる。
政治家や著名人への諜報活動や恐喝、政治的な迫害を次々と行う。
信念に裏打ちされた正義感が彼をそうさせたのである。
アメリカで一番恐れられたフーバーという男を見ると、「正義感」とは
かくも危険なものと思わざるを得ない。
少し前に足利事件の菅家利和さんが再審公判で無罪を勝ち取った。
厚生労働省元局長の村木厚子さんも逮捕起訴されたが、無罪を確定させている。
このような冤罪事件が後をたたない。
もっといえば、僕はロッキード事件の田中角栄さんもリクルート事件の江副浩正さんも
冤罪だと思っている。
これらの冤罪事件の背景には、
「悪い奴はやっつけろ」
「誰が悪い奴かは俺たちが決める」
「徹底的にやっつけるためには何をしてもよい」
という検察や警察の「正義感」があるのだろう。
まさにフーバーのやり方である。
こうした価値観はとても危ないものだと僕は考えている。

警察についてはいえば、他にも気がかりなことがある。
全都道府県で、暴力団排除条例が施行されたことだ。
その名のとおり、暴力団を排除するものだが、警察の恣意的な運用により、
さまざまな基本的権利を奪うものになる、という問題を含んでいる。
たとえば、暴力団関係者との食事や付き合いをすべて違法とすることができる。
通信傍受の規制緩和やおとり捜査、司法取引の積極的な導入が行われる可能性も広がる。
フーバーのFBIと同じやり方である。
「行き過ぎた正義」である。
過剰な正義はやがて巨大な権力を持つフーバーの再来を招くだろう。
その「行き過ぎた正義感」の歯止めとなるのが、メディアの役割だと僕は思っている。
ところが、日本のメディアは警察が「報道してはダメだ」と言うと「すべてダメ」と
勝手に判断してしまうところがある。
メディアが全面的に警察に乗ってしまうのだ。
暴力団排除条例でもマスコミが追随する動きがあり、僕は危ういことだと感じている。
さらに、どうも警察に対して批判ができないようだ。
すっかり萎縮していて、「危ないぞ」と言えない。

ぼくは日本のメディアに対して、いまこそ声を大にして言いたい。
「日本のメディアよ、もっと強くなれ」と。

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激論!“独裁者”橋下市長が日本を救う?!

大阪市長の橋下徹さんが注目の的になっている。
メディアでは連日、橋下さんのニュースが取り上げられている。
さらに、多くの学者や評論家が橋下さんの政治手法について批判をしている。
その批判に対して、橋下さんが強烈な反撃を加えるので、さらに大きな論争になり、
それがまたニュースになる。
中央政界でも、民主党、自民党ともに橋下人気にあやかりたいと考えているのだろう。
大阪市長選後、手のひらを返したように、橋下さんの大阪都構想への協力姿勢を
打ち出そうとしている。

僕は橋下さんと三時間ほど対談をしたことがある。
彼は、非常にセンスがいい。さらにファイトもある。
やる気があると言い換えてもいいだろう。当然ながら実行力もある。
しかし、彼が主張する大阪都構想というものが、僕にはいまひとつわからない。

大阪市長選のときに僕は、選挙直前の12月24日、現市長 vs 現知事、一騎打ちで
生放送で討論する番組をやろうとした。
そこで、橋下さんの大阪都構想についても話を聞こうと思っていたのである。
ただ、前市長の平松さんが放送前日にドタキャンしたので、話を聞くことが
できなかった。

橋下さんが大阪都構想を言い出したきっかけは、全国学力テストだそうだ。
2008年の大阪府の順位が公立小学校で全国41位、中学校で45位という、
下位の成績だったのである。
橋下さんは、小中学校の学力を向上させなければならないと考えた。
ところが、大阪市は協力的ではなかったのである。
橋下さんは、このことをきっかけに大阪府と大阪市が協力しなければ、
行政が成り立たないと考えるようになったらしい。
それが府と市の一体化である。
この話は僕もよくわかる。

ただ、大阪の最大の課題は経済的な地盤沈下である。
経済が落ち込んでいるせいか、大阪のモチベーションは極めて低い。
橋下さんの大阪都構想は、いかにして経済の地盤沈下を止め、大阪経済の再興を
果たすか、それが課題なのである。
これができれば、府民のモチベーションも、児童生徒の学力も、上がるに違いない、
と僕は思う。

先日、橋下さんからツイッターで
「僕のことを大嫌いな大学教授と直接討論させて下さい!!」
というつぶやきが僕宛にあった。
ちょうど僕も橋下さんに話を聞きたいと思っていたので、
今月27日の「朝まで生テレビ!」のテーマにした。
「激論!“独裁者”橋下市長が日本を救う?!(仮)」である。
橋下さんだけでなく、「反橋下」の人にも参加してもらい、徹底的に議論してもらう。
地上波でここまでできるのか、というぎりぎりのところまで論争するつもりである。
ぜひ期待していただきたい。

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なぜメディアは真実を言わないか

13日、野田政権は内閣改造を行った。
消費税増税を柱とする税と社会保障の一体改革を推進する態勢強化のためである。

野田首相は4日の年頭記者会見で、
「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー・ギブアップ」
とチャーチル首相の言葉を引き合いに、消費税率の引き上げ実現の決意を強調した。
チャーチル首相は、第2次世界大戦でのドイツとの攻防でイギリスに勝利を
もたらした名宰相である。
野田首相は、2015年までに消費税率を、現在の5%から10%に
引き上げることを目指している。
これに対して、テレビや新聞、雑誌には反対意見が多い。
主に次のようなものである。
「税と社会保障の一体改革を行うということなのに、社会保障については触れず、
消費税増税ばかり議論している。おかしいではないか」
ところが、社会保障とは一体何か、これからの社会保障はどうあるべきか、
マスコミは具体的に報道しない。

これまでも繰り返し述べてきたが、日本の国家予算は税収と歳出のバランスが
大きく崩れている。
2011年度を見ると、税収41兆円に対して、歳出は92兆円である。
普通の企業なら大赤字で倒産だ。
44兆円もの国債、つまり借金をして、ツケを将来世代へ先送りしている。
今やるべきことは何か。
税収を増やし、歳出を減らすことである。
税収を安定的に増やすには消費税増税しかない。
歳出を減らすには、社会保障を削減しなければならない。
具体的には、福祉・医療、教育、地方交付金の削減である。
ところが、医療負担費を引き上げる、年金の支払いを遅らせる、などと言えば、
国民からは総スカンを食う。
だから、マスコミはそれに触れない。
「社会保障に触れないのは、けしからん」
と政府に言うが、マスコミ自身も読者や視聴者の反応が怖くて言えないのである。

いま、国家権力というものが力を失い、ぼやけてしまった。
マスコミは、これらの問題こそ取り上げるべきなのだ。
ところが、本質的なことに触れず、無難なところでお茶を濁している。
それらが悪循環になって、日本全体がますますぼやけてしまっているのである。

年が改まってから僕は、いくつかの月刊誌や週刊誌の編集長に話を聞いた。
いま月刊誌も週刊誌も企画に困っていると彼らは口を揃えて話していた。
「打つべき対象」がぼやけてしまっているからである。
かつてジャーナリズムは「体制」を批判するものであった。
目下、「体制」とは民主党政権である。
日本の最高権力者、野田首相である。
ところが、ほとんどの日本人が、野田さんを「体制」とは思っていない。
野田さんの批判など、いまや誰でもできるからである。
だから、野田批判をしても読者や視聴者にまったく受けない。
近所のおじさんの悪口を言っているのとさして変わらないのである。

このように、権力という存在が、いま、非常に曖昧になっている。
そこでいちばん困っているのがマスコミということになるのだろう。

それでも僕は、マスコミがやるべきことはまだいっぱいあると思う。
消費税の増税や普天間基地の移転のように、取り上げ方によっては、
読者や視聴者から総スカンを食う問題もある。
しかし、そこにこそマスコミが報じるべきことがあるのではないか。
僕は、そのような問題にこれからも真っ向から取り組み、
どんどん議論をしていきたい。

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日本復活の芽はある!

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
被災地にはまだ仮設住宅にお住まいの方々もいらっしゃると思いますが、
新しい1年を迎え、希望をもっていきたいと思います。
そこで、年始にあたり、希望のもてる話題をしたい。

昨年末、専業農家の方々とシンポジウムを行った。
そこで僕は、今まで考えていた農業のイメージがすっかり変わってしまった。
まず、農水省が出しているデータはほとんどインチキだ、ということがわかった。
例えば農水省は、2011年の農業従事者の平均年齢を約66歳だと発表している。
つまり、あと3、4年で70歳を超えることになる。
この数字をみると、日本の農業は、あと数年で終わってしまうと感じるだろう。
また日本の食糧自給率は39%だと言う。
これは大変なことだ、とても心細いと感じる。
しかし、これは全部ウソなのである。

そのシンポジウムには、北海道から九州まで日本中から農家の方々が
150人ほど集まった。
みんな年収1000万円以上という専業農家ばかりである。
平均年齢は50歳ちょっと。40代の方もいらっしゃった。
つまり、平均年齢の66歳とは大きくかけ離れているのである。
では、なぜこういう数字になったのか。
そこには、こういうカラクリがある。
日本には200万人が農業に従事している。このうち専業農家が14万人。
農業収入のほうが多い兼業農家が40万人である。
では残りの約160万人は何か。週末農業である。
平日は役所や会社に勤めていて、収入のほとんどが農業以外である。
彼らが問題なのである。

彼らは、会社や役所を定年で辞めると、形の上では専業農家になる。
定年が60歳だとすると、専業農家のスタートが60歳になる。
だから平均年齢が66歳という数字になってしまうのである。
しかも、週末だけ農家をやっているので後継者ができようがない。
一方、しっかりした専業農家は、平均年齢はせいぜい50代前半で、
後継者もちゃんといるのだ。

食料自給率についても数字のカラクリがある。
日本の39%とという食料自給率は、カロリーベースの数字である。
ところが、世界でカロリーベースで計算しているのは日本だけである。
世界はみな金額ベースである。
では金額ベースにすると日本の食料自給率はどうなるのか。
だいたい50%台後半で、イギリスよりも高くなる。
もっと言えば、日本の農業生産高は世界第5位。日本は農業大国なのである。

いま専業農家は、いかに輸出をするか必死になっている。
彼らはTPPにも賛成である。
ところが、160万人の週末農家がTPPに反対する。
だから、農水省は、農業は先細りだというイメージを広めて、TPPに反対する。
さらに、国からお金をふんだくろうとする。

このことは、農水官僚の数をみても明らかである。
かつて日本の農業従事者は1000万人いたことがある。
いまは約200万人で、5分の1になっている。
一方、農水官僚はこの間、2~3割しか減っていない。
つまり、危機感を煽って補助金を確保しているのは、農水省と農協の
ためなのである。

元経産官僚の古賀茂明さんは既得権益に固執する構造を「日本の病根」と指摘した。
シンポジウムで聞いた話にも、農業における「病根」がはっきりとあらわれていた。
専業農家の多くの人は大規模化を目指している。
しかし、法律と規制で農地の売買が難しいから、農家は地主から土地を借りるしかない。
300の地主から農地を借りて農業をしている人もいた。

僕は、古賀さんと「日本の病根」について『決別!日本の病根 』で徹底的に語り合った。
農協、医師会、電力業界といった「日本の病根」と決別することが
改革への道筋につながることを明らかにした。
僕は、専業農家の方々と直接話をして、あらためて「病根」の根深さをみた。
しかし同時に、彼らの取り組みや展望を聞きながら、日本復活の芽が
出始めているとも感じたのである。

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2011年を総括する!

年の瀬にあたり、今年一年を振り返り、2011年を総括しようと思う。

2011年でいちばん大きい事件はなんといっても東日本大震災だ。
地震と津波がたくさんの町を襲い、多くの人が亡くなった。
そして、福島の東電の原発事故。
僕も、原発というものは非常に危険なものだと思ってきた。
原子力発電とは何なのかをとことん追求した
『原子力戦争』という本を書いたのは、40年も前だ。
しかしながら、実際に事故が起きてこんな大変なことになるとは
予想していなかった。

おそらく今回の原発事故は、多くの人にとって、考え方を見直す
きっかけになったのではないか。
日本は明治時代になり、それまでの鎖国を解いて開国した。
開国とは、ヨーロッパの科学技術を取り入れることであった。
第二次世界大戦で負けてからは、今度はアメリカの技術を吸収した。
日本人の生活は豊かになり便利になった。
このように日本人は、科学技術の発展に対して疑問を持つことなく、
近代化を進めてきた。
ところが、今度の原発事故で科学の進歩発展というものを過信して
いたことが明らかになった。
科学技術の進歩発展について私たちは根本から考え直し、
これまでの生活を変えなければならなくなるかもしれない。

今年はまた、独裁政権が次々と崩壊した年でもあった。
チュニジア、エジプト、リビアといった長期の独裁政権下で
次々と革命が起きた。
この革命の原動力になったのがインターネットの普及である。
いままで既存のメディアは、独裁政権に弾圧されてきた。
独裁政権に取り込まれ、宣伝機関になったりもした。
ごく一部のプロが発信をして、国民は受信者にすぎなかった。
ところが、ネットが普及し、ツイッターやフェイスブックが
出てきたとき、みんなが発信者になった。
さまざまな情報がいち早く伝えられ、たくさんの意見が溢れ出した。
各地でデモが行なわれて、独裁政権が倒されたのである。

この一連の革命に対して、もっとも神経質になっているのは中国である。
中国の最大の問題は、国民が国のトップを選んでいないことだ。
そのような中国にとって、ネットの存在は脅威なのである。

一方、ギリシャに始まる経済破綻で、ヨーロッパが大きく揺れた年でもあった。
まだユーロが破綻するか、それとも決着するかわからない。
もしユーロが破綻したら、世界経済は大変なことになる。
日本も大ダメージを受けるだろう。
もうひとつ、年末になって北朝鮮の金正日総書記が亡くなった
というニュースも飛び込んできた。

2012年、日本はどうなるのか。
まずトップ交替の可能性がある。総選挙の可能性もあるだろう。
TPPという問題もある。
TPPはアメリカのアジア戦略である。
日本では関税がどうした、農業がどうしたと騒いでいるが、
アメリカがアジアの国々を取り込んで、中国を孤立化させる戦略である。
だから日本の交渉参加に、中国は慌てふためいた。
中国は、必死になって日本と組もうとしている。
日本は今後、大きな選択を迫られることになるだろう。

もうひとつ言っておきたいことがある。
26日、事故調査検証委員会が原発事故の中間報告を発表した。
僕は正直に言って、この報告は物足りなかった。
報告では、結局、今度の原発事故はヒューマンエラーだったと指摘している。
いってみれば管理の甘さであり、原発というものが危険かどうかについて
まったく触れていない。
少なくともこの報告では「脱原発」には結びつかないだろう。

委員会はあえて踏み込まなかったのか。
それともその能力がなかったのか。
実は僕は、中間報告が肩透かしになるのではと危惧していた。
委員会のメンバーに原発に詳しい人がいなかったからだ。
来年夏には最終報告が出るが、このままでは、脱原発と言っている
人たちは不満を感じることになるはずだ。

僕は原発事故の問題については、専門家だけではなく、
福島に住む人びとを交えて本音で話し合うべきだと思っている。
そこで元旦の「朝まで生テレビ!」は福島県から生放送をすることにした。
福島の復興をどうするか。
原発の事故処理をどうするか。
東電はどうなるか。
“フクシマ”をテーマに、福島の方々とともに現地で徹底討論する。
ぜひ、多くの人びとに議論に参加してほしいと思う。

今年一年間、お読みいただき、ありがとうございました。
来年がみんさんにとってよい年でありますように、
心よりお祈りいたします。

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金総書記の死去で思うこと

12月19日の正午、北朝鮮の金正日総書記の死去が報じられた。
現地指導に向かう途中、野戦列車の中で心筋梗塞に見舞われたと言われている。

僕は、金総書記の死去に関する報道を見ていて、不満に思うことがある。
ひとつは、なぜ中国の動向を報道しないのかということである。
僕は、北朝鮮は長い間、喪に服すことになると思う。
50日か100日か。いや、もっと長くなるかもしれない。
喪に服すことによって混乱をおさえ込む。 時間稼ぎをしているのである。
そしてその間に中国が北朝鮮の上層部を説得する。
「政府内に確執が生まれるのは北朝鮮のためにならない」
「若い金正恩氏に問題はあるが、ここは秩序を保つべきだ」
そんな説得から全面的な支援まで、結局は中国がすべて面倒を見る。

つまり、北朝鮮の後継体制のカギを中国が握っているのである。
中国がどのような手段で金正恩氏を支援していくのか。
これが見所なのである。
ところが、日本のマスコミには、中国の情報がほとんど入ってこない。
北朝鮮の動向をもっとも注視しているのは、中国の胡錦濤国家主席である。
彼がどう動くか。
北朝鮮問題のポイントがここにあるのだ。

もうひとつ、朝鮮半島がらみで僕が不満に思うことがある。
12月17日に、韓国の李明博大統領が来日した。
日韓の首脳同士が交互に訪問する「シャトル外交」の一環である。
そして翌日、野田佳彦首相と京都迎賓館で約1時間の会談をした。
その会談で野田さんは、経済分野で日韓がいかに協力し合うかを
テーマにしようとしていた。
ところが、李大統領は従軍慰安婦問題にばかり言及し、野田首相を
追いつめたのである。
マスコミ各紙は「会談は慰安婦問題で緊張」「賠償請求問題が再燃」
といったトーンで報道している。
しかし、僕は問題の捉え方が違っているのではないか、と思う。

そもそも李大統領は、慰安婦問題の解決について日本に期待していない。
韓国では、来年4月に総選挙がある。
12月には大統領選がある。
今年10月のソウル市長選で与党は敗北しているため、
李大統領は日本に強硬な姿勢を示さないとならない。
韓国は「反日」で連帯するからだ。
だから、ここで日本に対して強く出て国内での支持率を
上げておきたいのである。
慰安婦問題が持ち出されたのはそのような韓国の国内事情がある。

野田さんも少し誤解をしているようだ。
慰安婦問題を「法的に決着済み」と伝えているが、一般的に
「決着済み」というときは1965年の日韓国交回復での協定を指す。
もしそうであるならば、野田さんはやや認識不足だろう。
当時、まだ韓国は慰安婦問題を十分にわかっていなかった。
これをもって「決着済み」と言うのは無理がある。
それでも、1998年の小渕恵三内閣のときに金大中大統領が、
「過去を問わない。未来志向でお互いの関係を発展させよう」
と言っている。
これでこの問題は、僕は「決着済み」だと思う。

ただ僕が問題だと思うのは、日本が慰安婦問題を総括していないことにある。
総括をせずに曖昧なままにしている。
僕たちは太平洋戦争についても総括をしてこなかった。
戦争が終わったあと、極東軍事裁判でA級戦犯が処刑されるなどした。
ただそれは、あくまでも連合国側が総括したのであって、
日本が総括したわけではないのである。

金正日総書記の死去で、しばらくは朝鮮半島から目が離せない。
政治情勢も大きく変わるだろう。

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堀江貴文さんに面会してきた

15日、長野県の須坂に行った。
長野刑務所に収監されている、堀江貴文さんに面会をするためである。
堀江さんが東京高等検察庁に出頭し、東京拘置所に収監されたのが、
6月20日のことである。
僕はその収監直前に、堀江さんが何を考えているのか、
その最後の言葉を聞きたくて、いくども対談をした。
この堀江さんとの対談は、1冊にまとめて本になっている。
田原総一朗責任編集『ホリエモンの最後の言葉』である。
あれから、ちょうど半年が過ぎた。
半年ぶりに会った堀江さんは、非常に元気そうだった。
なにより、顔がすっかり引き締まっていた。

収監されたときの体重は96キロだったそうだ。
それが22キロも痩せたと言っていた。
75キロを切ったのは、なんと18年ぶりらしい。
若返っている気がするそうだ。
そして、あと12キロ痩せるのが目標とも言っていた。
ストレスが溜まっているのではないかと心配していたが、
それもないようだった。
シャバにいたとき、「まな板の上の鯉だ」と言っていたが、
そのときよりも落ち着いて凛として見えた。

堀江さんに、最近のニュースで印象的だったのは何かと聞くと、
オリンパス事件だと答えた。
あの経営陣はあまりにも酷すぎる、と呆れた口調で言っていた。
ライブドアの件と比較するとオリンパスの事件は、
ケタ違いに金額が大きい。
粉飾決算を繰り返してきた期間も長い。
ところが、上場廃止にならず、刑事処分もないかもしれない。
「法の下の平等」を考えると、彼の心中は穏やかではないだろう。

堀江さんは、収監の直前に僕にいろいろな話をした。
ロケットのこと、ネットの未来のこと、そして刑務所を出たら何を
したいか、ということも聞いた。
たとえば、堀江さんは10年後に宇宙観光船を完成させると言っていた。
僕はそれに必ず乗ると約束した。

塀の中でも元気そうな堀江さんに会えて、ほんとうによかった。
きっと刑務所から元気に出てきて僕とのいろいろな約束を
実現してくれるだろう。
だから僕も、そのときは頑張って迎えに行こうと思う。

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だらしないぞ、自民党!

いま、国会が大騒ぎをしている。
防衛相の一川保夫さんと、消費者担当相の山岡賢次さんの問責決議案が
参院で可決したからである。
前沖縄防衛局長や自身の不適切発言が問題になった一川さんと、
マルチ商法業者との関わりが問われる山岡さんに、
自民党と公明党が「辞めろ!」と騒いでいるわけだ。

しかし、僕は自民党に言いたい。
「そんなことをやっている場合か」と。
そんなことは本筋に少しも関係ないではないか。
いまの自民党はただの野党になってしまった。
無為無策で、かつての社会党のように「反対」と言っているだけに過ぎない。
国民が政治に飽き飽きしていることを、自民党はまったくわかっていない
のである。

自民党はなぜ、こんなにだらしなくなってしまったのか。
とくに僕が深刻だと思うのは、自民党議員たちに、自民党がだらしなくなった
という認識がまるでないことである。
あまりにも鈍感だ。
もちろん自民党の中にも、危機感を持っている人もいる。
責任感があり、発信力のある人もいる。

たとえば石破茂さんは政策にも明るい。
石破政調会長のもとで新しい政策、新しい自民党が打ち出されるのかと
僕は期待していた。ところが、その政調会長の職を降ろされてしまった。
林芳正さんのように、党の改革に必要と思える人もやはり要職から外された。
山本一太さんもそうである。
国会の質疑で勇ましく活躍すると、みな干されてしまう。やっかみからだろうか。
このように、互いに潰し合いや足の引っ張り合いばかりをやっている。
挙句の果てには、これはと思える人材を追い出してしまった。
渡辺喜美さんや与謝野馨さん、平沼赳夫さんである。
肝心の谷垣禎一さんはといえば、いったい何をやりたいのかさっぱりわからない。
私は谷垣さんに会うたびに、「野心を持て」「意欲を持て」と発破をかけたが、
谷垣さんは大人しく聞いているだけだった。

それにしても自民党は、もっとも悪いパターンの野党になってしまった。
自民党に反対ばかりする「万年野党」の社会党のほうがまだましだった。
僕は賛成できなかったが、日本を「社会主義」にしようという
彼らなりの目的があったからだ。
ところが、いまの自民党は違う。
日本を政策で変えてみせるという気概がまったくない。

自民党の政治に愛想が尽きた国民は、2009年の総選挙で民主党に投票した。
そして、政権交代が実現したのである。
ところが、民主党に政権が移っても世の中は何も変わらなかった。
国民の多くはがっかりした。
ただ、民主党政権が迷走するだろうとは、ある程度予想できたことである。
なぜなら、野党だったころの民主党は自民党の政策に対して「反対、反対」と
言っているだけだった。
実際に政権の座についてわかったのは、この国をどうするかという戦略が
まったくなかったということであった。

僕が期待していたのは、自民党が野党になったことで自由になることである。
既得権益といった「古い日本」から自由になり、鮮やかな政策、
明確な国家のあり方を打ち出すことを期待したのである。
ところが、そうはならなかった。

現在の政治をつまらなくしているのは、もちろん民主党だ。
そして、自民党もそれに輪をかけて愚策ばかりを主張している。
泥仕合にも似た停滞した政治状況に国民は強い不満を抱いている。
民主党も自民党も「古い日本」から決別し、この政治的な迷走から
早く脱出しなければならない。

先日、経産省を退職した古賀茂明さんが、既得権益に守られた「古い日本」と戦う
成長戦略が必要だと述べていた。
僕は、政治の世界でも「古い日本」と戦う必要があると思う。

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橋下さんは、これから何をするのか

11月27日、大阪で投票が行われた。
40年ぶりとなる大阪府知事と大阪市長のダブル選挙である。
とくに、府知事の橋下徹さんと現職市長の平松邦夫さんが
真っ向から対決した市長選は、全国の注目を集めた。
結果は、市長は橋下さん、府知事は前府議の松井さんが当選。
地域政党「大阪維新の会」の勝利であった。

この選挙に関する報道を見ていて非常に残念に思ったことがある。
マスコミの質があまりにも落ちてきたと感じたのである。
週刊誌のいくつかが、橋下さんの出自をこれでもかと追及した。
実の父親がヤクザだとか、いとこが人殺しだとかとも、書いていた。
こんなのは記事ではない。
単なる中傷だ。
怪文書の類(たぐい)である。
言論の自由などまったく関係ない、と僕は思う。
そういうこともわからないほど、マスコミの質が落ちてきたのか、
と情けない気持ちになった。

これらの週刊誌の記事で、橋下さんは相当ダメージを
受けているのではないかと僕は思った。
そこで、すぐに取材をするために大阪へ向かった。
ところが驚いた。まったくダメージがない。
大阪の人びとに話を聞いても、「バカな週刊誌と戦っている」と
拍手喝采なのである。
橋下さんも、これらの攻撃を跳ね返し、中傷されれば中傷されるほど
それを力にして戦ったのである。

それともうひとつ、話したいことがある。
投票日の3日前の24日、大阪の放送局で夜7時から9時まで
現市長 vs 現知事、一騎打ちで2時間生放送という番組を僕が司会で
やることになっていた。
ところが、放送前日に平松さんがドタキャンしたのである。
「田原が司会なのは嫌だ」ということが理由のようである。
平松さんサイドの話によると、どうも僕は、橋下さんの味方だと。
僕は、形勢の悪い平松さんが逆転するチャンスだと思っていた。
だが、平松さんは勝っているのに、番組に出て負けたら大変だと
判断したらしい。

僕は、いろいろな番組で司会をしてきた。
「朝まで生テレビ!」でもそうだが、つねにフェアに司会を
してきたつもりである。
だから、まったく対極の主張の人たちも、僕の番組には出演して
くれるのである。

当然、平松さんのドタキャンに対して、「なぜ逃げた」 との批判の声が
相次いだ。
大阪で取材をすると、「ビビって敵前逃亡した」と見ている人がたくさんいた。
平松さんは、敵前逃亡が大打撃になると思わなかったようである。
大誤算である。

橋下さんは、いろいろな攻撃をかわしながら勝利した。
だけど、これはスタートだ、と僕は思う。
当選するのが目的ではないのだ。

大阪都構想には曖昧な部分がかなりある。具体的に何やるのか。
そして、いちばんの問題である大阪経済の地盤沈下をどうするか。
かつての「商人の町」をどうやって甦らせるか。
これからも僕は、橋下さんにどんどん突っ込んでいきたい。

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