日本はなぜ、弱くなったのか

よく「失われた20年」と言われる。

確かに20年、世界の中でも日本の地位は
どんどん下がっていく。

例えば、一人当たりのGDPは
2000年には世界で3位であったのが、
2008年には23位に落ちている。

総合国際競争力も、
90年には世界第一位であったのが、
2010年には27位に落ちている。

なぜこれほど落ちたのだろうか。

実は、国際社会の中で日本の技術力は高い。

にもかかわらず、
商売が下手になっているのである。

例えば昨年の暮れ、
アラブ首長国連邦が原子力発電所の発注をした。

実はこれから世界は原子力発電の時代である。

中国を始め、アジアの国々で
原子力発電所がどんどん作られる事になる。

そして日本の原子力発電所建設の技術は世界で一番高い。

世界で最も高い技術を持っているのは東芝である。
2番目が日立製作所、3番目が三菱重工である。

アラブ首長国連邦の原子力発電所の発注をしたのは
石油がピークアウトを迎えオイルメジャー達は
埋蔵量がどのくらいなのか掴んでいるはずである。

つまり、石油の未来は明るくないのだ。

そこで中東の産油国は石油は貴重な輸出品として、
国内の電力は、原子力発電でまかなうことにしたのだ。

僕は、当然アラブ首長国連邦の原子力発電所は
東芝や日立が受注するものと思い込んでいた。

ところが東芝も日立も落ちて、
なんと受注したのは韓国であった。

なぜ技術力が高いはずの日本が負けたのか。

東芝や日立は原子力発電所を作ると言う事で受注しようとした。

ところが、韓国が原子力発電所を作り、しかも運転もする。
そして60年間安全を保障する、と言う条件を示して勝った。

原子力発電所だけではなく、
全部1パッケージで提案したのである。

これをシステム輸出という。

今まで日本は原子力発電所をはじめ
テレビ、自動車など単品輸出をしてきた。
その時代が終わろうとしているのである。

5月初旬に仙谷由人さんと前原誠司さんがベトナムを訪問した。

仙谷さんは原子力発電所を売る為で、
前原さんは新幹線を売る為であった。

これまでならば、日立や東芝が出て行ったのだが、
仙谷さんが日立や東芝と一緒に原子力発電所を運転、
運用する東電や関電などの電力会社、
そして安全管理をする原子力安全委員会などのスタッフを
一緒に連れていった。

つまりワンパッケージで輸出をする為である。

前原さんは新幹線を売りに行った。

日本の新幹線が発足して以来、
一回も脱線事故を起こしていないし、
死亡事故も起こしていない。
しかも、時間は極めて正確である。
こんなに正確に安全に鉄道を運行してる国はない。
更に、日本の鉄道の信号システムは世界一である。
前原さんはこういう物を
全部ワンパッケージにして
売りに行ったのである。

もう一つ注目されているのは水ビジネスだ。

水ビジネスは100兆円市場だと言われている。

東レなど日本の水についての技術力は高い。

ところが水ビジネスの中心は、
水のオペレーション、運営管理のシステムである。

日本の水道はアジアで最も質が高い。

ところが、これまで日本は
水ビジネスのエリアに参入できなかった。

なぜなら、日本の水道の運用管理を行っているのは、
各地方自治体の水道局である。

つまり、役人が行っているわけで、
役人達はビジネスと言う認識が全くない。

ところが、最近になって東京都知事の石原慎太郎さんが、
東京都水道局がいろいろな企業と組んで、
水ビジネスに参入する、世界に輸出すると発表した。

こういう例が数多くある。

つまり、これまでの産業構造が
大きく変わろうとしているのである。

これに乗れるかどうかが日本の将来を決める。

さて、現在、小泉・竹中コンビの経済政策が
非常に批判されている。

実は彼らは、こういう産業構造の転換を
いち早くやろうとした。

そのために、思い切って規制を緩和した。

しかし、その為に競争が激化して格差が大きくなり、
倒産する企業や失業する人々が増加した。

特に、地方で多く出た。

だから、極めて評判が悪い。

しかし、彼らがやろうとした事は間違いではない。

ただ、競争に負けた企業や人々に対する、
セーフティネットが張れていなかった。

倒産した企業、その従業員達はどうやって生活をするか。

その点が抜け落ちてたのである。

僕は、競争が悪いのでなく、
セーフティネットの拡充が必要なのだと考えている。

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